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分散型金融システムにおける法と経済、およびガバナンス |
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バリバリの文系出身です。講義名に安直に「理系思考」という言葉を使ってすいません。
私は、20年以上金融の世界に身を置き、金融当局に16年超在籍しました。金融のグローバル化の中で、主にバーゼル規制をはじめとする金融機関に対する規制のフレームワークを作る側に身を置き、その間、100年に一度の金融危機も経験し、その後の国際的な金融規制改革の大作業にも携わりました。
その作業が概ね完成した2017年頃からフィンテックに携わり、金融庁の中で新しくできたフィンテック室の初代室長などを経て、現在はリクルートに在籍しています。
「フィンテック」は、テクノロジーによって、金融サービスの在り方が変わる中で、新たなプレイヤーが金融に参入し、金融規制当局として、これまでと違うディメンションにあります。もはや、規制当局が相手にするのは、金融機関だけではなく、多様なバックボーンを持った様々なステークホルダーであるということです。
ブロックチェーンのように自律分散型の技術が、金融システムの中に組み込まれていく中で、金融システムそのものが自律分散型へ移行していく将来像について、2017年くらいから考え始めました。その過程で、金融機関などの既存のステークホルダー以外の、暗号学・情報セキュリティ分野の大学の先生や研究者、暗号資産のディベロッパーなどとの対話・議論の必要性を感じ、金融庁においてそれを実現してきました。金融は多様性を包摂した産業に変わったのです。
「理系思考」に込められた意味は、単なるファイナンスとテクノロジーの融合という観点での「理系思考」ということにとどまりません。これからの金融(ファイナンス)は、多くのステークホルダーが関与し、金融の法・規制の在り方、これからの金融システムのデザイン設計においても「理系思考」も総動員することで新しい発想をつくっていく必要があります。皆さんで新しい金融の在り方について考えていきましょう。
セミナー実施担当として、全体の進行役を務めます。
自身の研究分野は意思決定、合意形成、 紛争解決、 社会モデリングで、社会問題に対する数理的アプローチを専門としているので、当セミナーの「理系思考」の一部分を担います。