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セミナー(2010年10月7日(木))

日時:2010年10月7日(木
) 17:00-19:00
場所:東京工業大学大岡山キャンパス西9号館7階707AVセミナー室
タイトル:
合意形成過程におけるコミュニケーションデザイン
―評議の設計と地域健康医療意見交換会の分析を例に―

講師:西條美紀(東京工業大学留学生センター)

概要:
 コミュニケーションデザインは、おもに広告業界において製品と市場を結びつけるための戦略の総称として使われる言葉である。この言葉自体に学問的な伝統があるわけではないが、立場、知識、関心・懸念の違う人々が公共的な状況の中で合意形成をする場面が多くなった現在、この言葉を社会言語学的に再解釈し、現実の合意形成の設計と分析に生かしていくことには社会的・学問的な意味があると考える。

 本講演では、上記のような考え方に基づいて講演者が共同研究者とともにコミュニケーションデザインを行った例として、裁判員制度下の評議と静岡県掛川市で行った地域医療支援体制についての異職種意見交換会を取り上げ、話し合い設計の考え方とそれぞれの方法について紹介する。どちらの例も日本社会における今日的な問題に対する解決を目指した成員異質性の高い話し合いである。しかし、前者は判決を書くという合議体の合意形成の目的と手続きが明確な話し合いであるが、後者はそれらが明確ではない。掛川市における地域医療の拠点形成については、行政は合意を形成したいという意図を明確に持っているが、介護・医療従事者の拠点をめぐる関心・懸念は一様ではなく、合意形成の目的もそれにいたる手続きもはっきりしない話し合いとなっている。本講演では、これら二つの、合意形成という観点から対照的な話し合いを「付箋紙法」という議論の可視化技法で設計した場合の利点と困難点を示す。掛川市の例については、表明された意見について定量的な分析を行った結果についても紹介する。

 ここでとりあげる評議も掛川市の意見交換会もケーススタディとしてコミュニケーションデザインの効果を評価できる段階ではないが、それぞれの例について評価の考え方についても言及し議論したい。

主催:合意形成学国際プログラム(IPCOB:http://www.ipcob.org/
 
合意形成学国際プログラム International Program on Consensus Building