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"Consensus Building" Seminar

セミナーの様子COMMEMTS

受講生の感想(2023年度)


【A「討議民主主義と合意形成」クラス 】
セッション1 無作為抽出市民による討議:社会実験から制度化の動向

  • 「結論を出さない討議、議論」というものがあることにまず驚いた。一般市民に任せるわけではなく、結論を出すのがあくまで主催者(?)であることで、参加者も良い意味でプレッシャーがなく議論できるのかもしれない。
  • 疑似体験では、同じテーマ「高レベル放射性廃物処分方法」であっても、実際の議論と今回の体験で、議論の時間ややり方が少し違うだけで、意見の変化に差が出たことが興味深かった。
  • 討議型世論調査がどのように合意へとつながるのか、あるいは合意へとつながらないのか、ということが気になりながら、今回の体験をしておりました。そのような中で合意ということに関して、「無作為抽出の市民が議論し、75%以上が同意(私の聞き間違いかもしれません)したら合意したと言えるのでは」(学術会議委員のご発言)とのエピソードをご紹介頂きました。75%以上は「合意」と捉えて良いのか、個人的にはまだ疑問が残りました。あらためて、合意とは何か、何らかの案に対して同意する人の割合がどれくらいならば合意と捉えられるのか、知りたい・探求したいと思いました。
  • 次回取り上げて頂く討議型世論調査の理論や調査のバリエーション講義がとても楽しみです。その中で、合意とは何か、引き続き考えて参りたいと存じます。ありがとうございました。
  • 熟議型民主主義のやり方だと、参画メンバーがお互いに関係性のない個々人なので、意見対立するグループ間での非難の応酬や駆け引きなどが起こりにくく、専門家の意見をインプットする過程もあることから、あいまいな情報や思い込みに基づくのではなく、冷静に客観的な意見形成が出来そうな印象を受けました。
  • 冒頭の前回のふりかえりや質問への回答の時間を短縮するとすれば、Quizletを活用し、代表的な感想や質問とそれへの回答を記載いただき、受講生はそれを読むようアナウンスいただくのでもいいかも分かりません。
  • 今回の熟議ワークで変化・強化を体感できました。知識・技術が自分自身に刻み込まれたような感覚を感じており、とても学びになった気がします。これは素晴らしいワークですね。
  • 初回のガイダンスの時に豊田先生が「話し合いが大事」、「話し合いの可能性を信じている」ということをおっしゃられていました。今回のセッションで豊田先生の言っていることが少しわかったような気がします。折り合いがつかないのは、その背景となる状況の理解が足りていないということが要因の一つであり、話し合いでそこを一つ一つ潰していくことで合意形成が前進するのだろうと思いました。
  • アンケートで性別を選択させる場合には、「その他」または「回答しない」という項目を設けてほしいです。今回は実際に行われたアンケートをそのまま引用しているかと思うのですが、討論時間が短かったり専門家が同席していなかったりと全く同じ条件ではない以上、アンケートの項目もアップデートしていただければと思います。統計的な男女の格差等を測る調査であれば別の論点がありますが、今回のような市民の良心に頼るところがあるアンケートでは、より多くの対象者に自分の存在が無視されていないと感じてもらうことも重要なのではないかと考えます。
    (講師より:配慮が足りず反省しています。)
  • 殆ど一回の授業の大半を疑似体験できたことは、大変貴重な経験でした。
  • 文献を事前に読んでおくことによって、実際の授業の理解が深まり、又疑問も多く出て、質問も自ら考えられるようになったと思います。
  • 今回のセミナーでは、実際のグループ討論の前後での、人の考え方に変化が見られ、正しく状況を伝えることが、合意を得るためにも必要であると感じました。坂野先生。講義ありがとうございました。
  • 疑似体験をすることで、講義で説明されるよりも早く理解できたと思う。しかし、合意形成学についてまだよくわかっていない状態だったからということもあるかもしれないが、今回のセッションでは高レベル放射性廃棄物の処分方法を勉強しているような感覚になった。ただ、逆にこのもやもや感が次の週を楽しみにさせているかもしれないとも思った。
  • 過去にブレディみかこ氏の小説やインタビューを読んで、イギリスの住民参加型の社会課題の解決方法に興味をもった。その中で、ミニパブリックに関する話題が取り上げられていたように思う。次回の理論の講義を拝聴した後、再読したい気持ちが高まった。
  • 討議民主主義手法については、そのような手法があることに驚くとともに、なるほど良い手法であると感じました。「一人一票の投票権を持った有権者によって選ばれた代表者グループよりも無作為抽出市民のほうが代表性が高いこと」について、何故そのようになるのか、分かるような気もしますが、人間心理の面などから考えてみたいと思います。
  • 私が携わっている「環境影響評価」における手続きで取り入れることができるのか考えたいと思います。


    (2023年度A「討議民主主義と合意形成」クラス、セッション1 にて)
セッション2 トランジション・マネジメントと合意形成
  • 擬似体験(実験)を入れていただいたので、楽しく受講出来ました。このように体感出来るメニューがあると理解が促進されるように思いました。
  • ミニ・パブリックスによって社会全体の豊かさにつながるアウトプットができうるといえる理論や、これまで各地で開催されてきたミニ・パブリックスの例を知れば知るほど、(少なくとも日本の国民全体レベルの政策においては)実効性が伴わない、政府は基本的には無視、ということにどうしてもやるせない思いが募ります…!
    (講師より:社会が変わるのは時間がかかりますが、明治依頼日本に民主主義が取り入れられてきたように、ゆっくりではありますが必ず変わると思います。無作為抽出市民の活用は、地方自治では増えてきています。東京都内自治体では、4割が市民等議会を、6割が総合計画に無作為抽出市民の参加を活用しています。構想日本は、150近く(数字は不正確です)の事例で、自治体の行政評価に用いています。)
  • 科学者と市民の間でリスク認識の乖離があることを知り、一市民として驚き、市民と科学者が対話していても、リスク認識の乖離から合意が得られない場合があるのではないかと思いました。また、原子力発電事故以前と以後では市民のリスク認識が異なると考えられるのですが、一度変わった認識を再度変えることができるのか疑問に思いました。このニ回のレッスンを通じて、熟議民主主義の意義の一部を理解できたのではないかと感じています。
    (講師より:科学は、それまで不可能だったことを可能にする知識や技術を生み出します。しかし、可能領域が増えれば増えるほど、それを実施するのが良いかがそれまで規範では決めることのできない倫理的判断が未確定の領域が増えます。遺伝子治療、AIなどその例です。倫理的判断を専門家だけに任せて大丈夫でしょうか。市民が責任を持って下すべきではないでしょうか。リスク判断は、両者が結びついた領域の問題です。市民のコントロールがより強く求められていると思います。)
  • 公共財ゲームなど実体験を交えた学びが多いため、実感値を持って理解できて非常にありがたいです。
  • 男性・白人などドミナント、効力感の高い人は、リスクはオポチュニティーと捉えるから、リスクを低く見てしまうというリサーチは驚きと納得。意思決定層を多様にすることの重要性を深く再認識するとともに、それを促すのに効果的なリサーチ結果だと感じます。このような情報がたくさん手に入れて、現場に当てていきたいととても思いました。
  • 討議には意味がある、ただしその合意形成には時間軸が必要、利害構造に影響受けないための無作為抽出、ただしコンサルテーションという位置付けだというお話に腹落。有効だが意思決定にまで持っていくには厳しいと感じていたので、その取り扱いを考える上で大変参考になりました。
  • 質問への回答は後で読めるように先生方からも文章で書いておいて頂けると助かります。またいつもあっという間なので、教授陣と参加者と対面でお会いできる機会があるとさらに学びが深まりそうです。
    (講師より:講義後に、そのような機会があるといいですね。居住地が全国なので、スタッフも一同に集まるのは難しいかもしれませんが。)
  • 私は日本橋の老舗コミュニティという伝統的コミュニティの公共性について研究をしております。日本橋ではよく言われているのが「自分だけ儲けようをする人はこの街では商売がうまくいかない」ということが言われます。それぞれの老舗の家訓がそういったものだから、というよりも、「自分だけ儲けない」という意思決定が、コミュニティの持続性に影響をしていると人々が理解しているせいなのではないか、と今回の授業でお思いました。システムとして作用するだけのメカニズムではなく、共同で祭礼を行うなど、常に、他者の老舗であったり、神であったり、先祖という死者であったり、精神性をもったある種のメカニズムが存在し、マリ経っているのではないかと考えた次第です。坂野先生からのご指導いただけますと幸いです。
    (講師より:互恵性規範は、伝統的コミュニティでは世界各地に見られる規範です。中世の地中海貿易における商人の規範を繰り返しゲームの観点からは、ハーバード大学のGreifが研究を行っています。ソーシャル・キャピタルで有名になった、Putnamもインドネシアのアリサンという講について似たような観点から触れています。私の研究室では、まちづくり協定についてそのような観点から学位論文を書いた学生がいます。さらなる質問がれば、個別にご連絡ください。)
  • 合意形成学はどこの国が先進的にすすんでいる、などはあるのでしょうか。世界と比べて見ると見本での取組事例は少ない理由には、日本の政治の仕組みや国民性など以外に、例えばまだ合意形成の手法についてあまり知られていない、などもあるのかなと少し思いました。
    (講師より:日本はインフォーマルに社会的対立を解決してきた歴史のある国だと思います。談合という言葉には、悪いイメージがありますが、もともとは、徹底的に話し合い、合意をとることだったようです。韓国の例を話しましたが、韓国での葛藤管理(conflict management)制度で扱っている問題の多くは、開発を巡る、開発者と地元の対立が多いのですが、ドイツでは都市開発で住民との事前協議が制度化されており、その際にプラーヌンクツエレ(計画細胞)と呼ばれる無作為抽出市民の活用が行われています。日本では、こういった問題は、意外とインフォーマルに解決できてきたという歴史があります。紛争になるのは、諸外国に比べ少なかったのではないかと思います。このことが、制度化やフォーマルな合意形成の仕組みが整備されてこなかった理由なのではないかと考えています。まちがっているかもしれませんが。)
  • 授業の中で様々な参考文献や現実の事例等、生きた情報を沢山教えて頂けるので、非常に勉強になります。
  • 他のメンバーの方々とクラス分けされたルームで議論することも多くの気づきがあり、オンライン講義の有意な点だと思います。
  • 人心がどのように合意へと傾いていくのか、理論的に理解することができました。ゲームをさせていただいたことで自分の心の動きにも共通していることがわかり、納得感も大きかったです。人種や性別によっての傾向や議員は住民意見をとるのは嫌いだが知りたがってはいる、などの細かいお話も興味深く、参考になりました。


    (2023年度A「討議民主主義と合意形成」クラス、セッション2 にて)


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